花は咲く、
という事実を知らなければ、偶然、花が咲くのを待つしかない。
でも、偶然を待っているだけで咲く花が数多くあるわけではない。
「お前には無理だよ」という言葉の木枯らしが吹き荒れるこの国においては、
自然に咲く花の方が圧倒的に少ない。
だから僕は言い続けてきた。
花は咲く、と。
何度も何度も、花が咲くイメージを思い描く。
そのために必要な水や肥料や日光を与え続ける。
そうすれば、必ず芽が出て、つぼみをつけ、花は咲くからだ。
一人ひとり、その花の色や形は違うだろう。
でも、必ず花は咲く。
種の頃には想像も出来なかったような花が。
種は頑張って芽を出し、日光を求めて精一杯伸びていく。
彼ら彼女らにできるのはそれだけだ。
花が咲くかどうかは、その時まで分からない。
でも、花が咲くことを知っている人がいれば、
その時を信じて種に水や肥料や日光を与えることができる。
与えるものを慎重に選び、量を加減して、その日まで辛抱強く待てる。
そうした存在が、どれだけ人を救うかを僕は身を持って感じてきた。
そうやって咲いた花が、祝賀会に集まった。
その陰には咲かなかった花もある。
つぼみのままで春を迎えてしまい、花をつけることができなかった者たち。
そこから目を背けることはできない。
だが、その上でなお僕は信じ、言い続けたい。
いつか花は咲く、と。
道塾の裏を流れる神田川の桜は五分咲きくらいで、じき満開になる。
その花が一晩のうちに散るように、大学合格という喜びもまた一瞬で消える。
でも、花が咲くという事実を知っていれば、それは新しい一年の始まりだと分かる。
それどころか、夏も、秋も、木枯らし吹き荒れる冬も、季節の移り変わりを楽しめるようになる。
祝賀会へ来た一人ひとりに伝えたかったこと。
花は咲く。
そう信じ続ける力を身につけること。
大学受験は、そのための修行期間に過ぎない。
花が咲けば、実がつき、やがて種がこぼれ落ちる。
季節は巡り、その種が後にまた新たな花を咲かせることになる。
その時にこそ、自分自身がどんな可能性を秘めていたかに気がつくことができる。
道塾を巣立ったら、水も肥料も太陽も自分で賄わなければならない。
つまり、自分で自分の可能性を信じなければならない。
寒くて凍えそうな時もあるだろう。
真っ暗闇で前へ進めないと思う日も来るだろう。
でも、その時には自分が咲いた日のことを思い出してほしい。
花は咲く。
そして、わくわくしながら次の春に備えよう。
塾長
馬場祐平

